いくらといくら母の はじめての家づくり

■はじめに
私が大学時代まで過ごしていた実家は貸家でした。亡き祖母の所有であったその2DKの貸家は大工の父が建てたものでしたが、築20年以上たちかなり古くなっていました。6畳と4.5畳の部屋とキッチン。お風呂は給湯器・シャワーはなく湯沸かし器で、トイレは水洗ではなく、壁は砂壁、雨戸は木製といった家でした。よくお風呂をうっかり沸かしすぎて沸騰させてしまったり、真冬でも洗顔は水洗いだったり、トイレにうっかりいろいろなものを落としたり・・・だからといって家に不満をもったことはありませんでした(そういう住まいしか知らないからですが) 古いことをいいことに壁紙を勝手に張り替えたり、壁にペンキ塗ったり、柱に釘を打ったりと改造してインテリアを楽しんでいました。
2000年、私は社会人になると同時にとっととその家を離れ一人暮らしを始めました。ワンルームのアパートでしたが、お風呂にシャワーがありお湯がでるということ、トイレが水洗であることの便利さを知りました。
「実家の貸家には戻れない」
そう思うようになりました。
2001年、社会人1年目も終るころ、自宅新築の話が持ち上がりました。
「(母が)祖母からもらった土地に新しく家を建てよう」

そして母と私の自宅新築物語がスタートしました。


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